妊婦検診
妊娠5~9週 : 予定日決定まで1~2週間毎に超音波を施行します。
妊娠9~12週 : 予定日を決め、母子手帳交付の後、初期検査を施行し検診を開始します。
基本項目は子宮底長、腹囲、体重、血圧の測定と、尿蛋白、尿糖、浮腫の有無です。
妊娠12~23週 : 4週間に1回。
妊娠24~35週 : 2週間に1回。
妊娠36週以降 : 1週間に1回。
妊娠8~10週の予定日決定まで開業医が診ます。
妊娠9~12週の初期検査は分娩施設で施行します。
合併症等が無ければ妊娠30週頃まで開業医が診ます。
超音波は共通ノートに貼り情報が共有されます。
当院の検診時の超音波は1600円です。
希望の場合、性別はお伝えします。
1. 最終月経から妊娠5週を過ぎても子宮内に胎嚢 ( GS ) が見えない場合
a. 排卵が遅れ5週未満
b. 胎嚢が見えない間に成長が止まった化学的流産
c. 異所性妊娠
の鑑別をしていきます。基礎体温で排卵日が確定されている場合以外、当日の診断は出来ませんので、1週間程、空けて胎嚢が見えて来るか経過を追います。
2. 妊娠5週で胎嚢が確認された場合、1~2週間後に再診し
a. 胎嚢が大きくなっているか
b. 胎嚢内に卵黄嚢 ( yolk sac : 白いリング ) があるか
c. 胎児心拍を認めるか
を確認します。卵黄嚢の確認をもって胎嚢と確定され、卵黄嚢が見えると、1週間後に胎児心拍が確認出来ます。
3. 妊娠8~9週頃に頭殿長 ( CRL ) を測ります。最終月経からの分娩予定日と7日以上のズレがある場合、頭殿長から予定日を決めます。予定日が決まったら管轄の役場に妊娠届出書を提出し母子手帳と検診の公費用紙を貰います。
4. 妊娠9~11週頃に初期検査と初回の妊婦検診をします。
5. 妊娠13~14週頃に初期検査の結果報告と2回目の妊婦検診をします。赤ちゃんの頭の大きさ ( BPD ) を測り予定日を再確認をします。妊娠14週から大腿骨長 ( FL ) も測ります。
1. 妊娠18週頃から赤ちゃんの体重を測り、各器官に異常が無いか確認します。
頭部は左右対称か、側脳室の拡大は無いか、小脳の大きさと後ろの大槽のサイズは問題無いか、口唇の左右の繋がり忘れはないか、胃は左にあり心臓は左向きか、胆嚢はあるか、腎臓に嚢胞は無いか、膀胱の左右に臍帯動脈があるか、背骨は上から下まで問題無いか、ターゲットサイン ( 肛門 ) はあるか、大腿骨の短縮は無いか…
2. 赤ちゃんの通り道の子宮頸管長 ( 妊娠24週で35mm程が正常 ) を測ります。
3. 羊水ポケット ( 20~80mm が正常 ) を測ります。
4. 胎盤の位置を確認します。初期に内子宮口にかかっていた胎盤は妊娠24週頃までに内子宮口から外れます。
5. 妊娠28週で骨盤位の場合、今回も帝王切開以外の方は、逆子体操で頭位に直します。
出産後、赤ちゃんが苦しくなる心疾患に注意します。左心低形成症候群 ( HLHS )、大血管転位症 ( TGA )、総肺静脈還流異常症 ( TAPVC )、大動脈縮窄・離断症 ( CoA/IAA ) です。いずれも胎児期に開いていた2つの孔 ( 卵円孔と動脈管 ) が出生後に閉じると同時に全身に酸素が行かなくなり赤ちゃんがショックになります。出生後、2つの孔を開けた状態にし酸素が混ざり合う様にしてから手術をします。出生前に診断出来ていた場合、準備が出来るため予後が良くなります。HLHSは左右の心房と心室が見える四腔断面で左心室が小さく診断されます。TGAは心室から出る大血管の配置が逆になっており、左心室から二股に分かれる肺動脈が出て、右心室から大動脈が出て並行 ( 正常では交差 ) に走り大動脈が長いです。TAPVCは左心房から角の様に出ている肺静脈が見えず、四腔断面で左心房と大動脈との距離が長く、その間に余分な血管を認めます。心室から出た肺動脈と大動脈は正常では同じ太さで合流しますが、CoA/IAAは大動脈が細いか確認出来ません。
1. 血算 ( 白血球数、赤血球数、血小板数 )、血糖値
2. 血液型 ( ABO、Rh ) と不規則抗体
3. 感染症 : HBs抗原、梅毒 ( RPR 、TP抗体 ) 、HCV抗体、HIV抗体、HTLV-1抗体、風疹抗体価 ( HI )、子宮頸管クラミジア抗原
4. 子宮頸癌検診
希望により追加
1. トキソプラズマ抗体
2. サイトメガロウイスル抗体
3. 細菌性膣症のBVスコア
1. ワクチン接種による予防
日本は風疹は排除された様ですが、妊娠16週以前に風疹に罹患すると、胎児に先天性風疹症候群が発症する事があり念のため注意して下さい。抗体が低い場合、家族へのワクチン接種と、産後、落着いたらワクチンで抗体価を上げる様にしましょう。風疹抗体 : HI法で16倍以下、EIA法で8 IU/ml未満は低いと見なします。
2. 手洗いの施行
トキソプラズマ感染予防のため、生肉を扱う時、ガーデニング、動物の糞の処理時は使い捨て手袋の使用し、しっかり手洗いをしましょう。
3. 体液に注意
尿、唾液、体液などにサイトメガロウイスル等の微生物が含まれる事があります。おむつ交換時も使い捨て手袋の使用か手洗いをします。歯ブラシの共有、口移しは止め、性生活はコンドームを使用しオーラルセックスは控えましょう。
4. 加 熱
充分に火を通してない肉、生ハム、サラミ、加熱してないチーズは妊娠中は口にせず、生野菜はしっかり洗いましょう。
5. 人ごみは避けましょう
飛沫で感染する風疹、インフルエンザ等が流行っている時は人ごみを避けマスクを着用しましょう。子供は色んな感染症にかかりやすく子供を介し感染する事もあります。熱や発疹のある子供には注意して下さい。
吉野産婦人科医院
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